1. 序文

「パイソンライブラリ」はいくつかの異なる種類のコンポーネントを含んでいます。

一つは、数字やリストのように通常は言語のコアの一部と考えられるデータタイプが含まれます。これらのタイプのために、パイソンの言語コアはリテラルの形式を定義するとともに、語義にいくらかの制約を課していますが、語義を完全に定義はしていません。(一方では、言語コアはスペルや演算子の優先順位のような文法的な特性を定義しています。)

また、ライブラリには組み込み関数と例外が含まれています。これらは、すべてのパイソンのコードからimport文を必要としないで使用できるオブジェクトです。 これらの内いくつかは言語コアで定義されていますが、多くはコアの語義にとっては本質的なものではなく単にここで記述されているにすぎません。

しかし、ライブラリの大部分はモジュールのコレクションから成っています。 様々な方法でこのコレクションを詳細に分析することができます。 あるモジュールはCで書かれていてパイソンインタプリタに組み込まれており、またあるモジュールはパイソンで書かれていてソース形式でインポートされます。 あるモジュールはスタックトレースのようなパイソン固有のインタフェースを提供しており、またあるモジュールはソケットI/Oのような特定のOSに固有なインタフェースを提供しています。また別のモジュールはWorld-Wide Webのような特定アプリケーション分野に固有なインタフェースを提供しています。パイソンのすべてのバージョンとプラットフォームで利用できるモジュールもあれば、システム側のサポートがある時のみ利用できるものもあります。また、パイソンをコンパイルしてインストールする時に、特定の構成オプションを選択した場合のみ利用できるモジュールもあります。

このマニュアルは「内側から外側に」まとめられています。まず組み込みデータタイプを、次に組み込み関数と例外を、最後にモジュールを(関連するモジュールをグループ化して)記述しています。章の順序は、章内のモジュールの順序と同じく、最も意味のあるものから重要性の低いものへとだいたいなっています。

これは、このマニュアルを最初から読み始めて飽きたとき次の章に飛んでも、利用できるモジュールとパイソンのライブラリがサポートするアプリケーション領域に関する妥当な全体像を理解できるようにするためです。 もちろん、小説のように読む必要はありません。目次(マニュアルの先頭にある)を眺めたり、索引(最後にある)で特定の関数、モジュール用語を探すことができます。 最後に、手当たりしだいに学習したいのなら、でたらめのページ番号(モジュールrandを参照)を選んで、1つか2つの節を読むこともできます。

さあショウを始めましょう。

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